暮れの大聖堂

2019年12月18日

みんなが寝たと思った。ペットボトルの水中置換装置、へんな装置で煙を五たび吸ったと思ったら、見回すと芯として。目の前に倒れた誰かの足にキスをした。顔を蹴った足の持ち主が、毛布を掛けてくれた、冬。あなたはだれ?

石のおにぎり

2019年11月09日

積み重ねたり、我慢したり、期待したり、させたりしていた目線が、テーブルの上の、石のおにぎりに落ちて、すーーと喧騒が遠のいた。時間が一瞬なくなって、石を撫でて、石を褒めた。月に一度恋をして、月に一度泣いたは石のこと。あなたのこととわたしのことが、どっちがどっちかかわかんなくては石のこと。おかかをまぶしたり、梅がのぞいたり、炊きこまれて家族のにおいがするんだ石のこと。喧嘩したよ石のこと。迷惑かけたな石のこと。焼いた石が、ストーブの代わりだ。秋のこと。名前を呼びあって、高い山にも登った。昔のこと。ボロボロ泣きながらおにぎり食べる女の歌を思い出したな新宿の隅。旅から帰ってもあいつは何にも変わらん。全く。

山に行ったら

2019年09月17日

奥多摩を一日かけて散策した。駅から車道を歩いてマスの養殖場なんかを眺めて、山に入って滝を三つ見た。滝を近くで見るのは実は初めてなんじゃないかと思うくらい、風が吹いていた。しぶきが顔に吹き付けてくる。この滝は何歳だろう。大きな岩を、何年もかけて切っている。きっと夜中も同じ音を立てて切り続けている。滝のしぶきに巻き上げられて、山椒のようないいにおいがする。登山者が踏んだ山の実が潰れて匂っている。Tちゃんは二回目の滝だけど、淡々と前を歩いて案内してくれる。時にウサギのように走り出す。山道は、だんだん登ってゆく。小さい沢と山道が交差するところで、沢のずっと奥まで見渡せる。奥の奥にはきっと動物が暮らしている。水を飲んだりしている。緑と木漏れ日の先を目を凝らしてのぞき込む。沢の石段がずっと先まで、...

セミと歯形

2019年09月07日

今、うちの猫がどこかでセミを獲ったみたいで、ぎーぎー鳴き声がこっちに近づいてくる。獲物をくわえたまま、いつものガラス戸まで持ってくるつもりだ。うちの中でセミを転がすつもりだ。近頃毎日とってくる。食べ物がなくなると、セミを食べている。不便さ、適度な不便さがないといけないと言って友達は徳島に旅立った。くわえているものを放しなさい。猫の口に指を突っ込んでやっても全然放そうとしない。しっかりくわえて、こっちの反応をうかがう。もし猫の私小説を書いていたら、こんな出だしなんだろうか。軽井沢近くの東横インからは、ちいさな盆地の景色がとっても静かに見える。七階の部屋は清潔で、テレビでは地方局の女子アナがブドウがいかに甘いかについて、上品に、ささやいている。男たちは階下に降りて、6000円のコース料理と...

呼び戻す男の歌

2019年08月01日

顔の見える高速左車線三億総ディズニーランド化計画無謀暗礁ばってん思い起こす、

高速道路

2019年07月01日

くれーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

モディ

2019年06月24日

シリアスな時はめっちゃくちゃ前のほうでモたる

何年も

2019年05月05日

10年も、もちろん始めは無意識のうちに、恋人のような母のような感じでずっとそこにいて、無造作に、藁を敷くように、ずっと音を重ねてきた姫君を、愛してしまってそこから動けません。目を凝らし(メルコラサン)見えない織目が見えてきました。気づいていたのに、気づかぬふりを、していたのです。なんて卑しいナリなのか。ああ乞食同然!もうどんな風も通さぬ。プロトタイプの恋です。鉄の鎧を脱ぎ去っても。皮膚がまるで甲冑のようになってしまいました。夏の昆虫が、動けないくせに、異常に熱っぽいのです。もはやバンドではありません。ロックとかパンクとか、どこの空。目抜き通りのクリスマスは、散らばってくれませんでした。後ろ指をさされても、そこには背中がありまあせん。旅の仕方も忘れました。健全な旅をしてはいけないと、健全...

①ユニック車で庭石を積みながら彼が帰ってきた。ユニックのディーゼルの音はすぐに近づいてきて、急ブレーキかけて着いた。キッチンからぼうっと外を見ていたら、車が突然、あ、っと窓を覆った。窓は開け放たれていて、砂ぼこり、入ってきた。遠くのアルプス山脈の景色が、車で遮られた。彼は、ただいま!と言って玄関からドカドカ入ってキッチンに来ると、彼のお嫁さんと僕がキッチンのテーブル席で、おかえり。迎える。彼はすごい速さで「どん平」を三つ袋から出して、どんべいかってきた!と言って、マル子、お湯!といって湯を沸かさせた。前夜も同じキッチンで飲みすぎて、三人ともあんまり寝てなくて、ほとんど寝ないで仕事に出た彼が昼休みに帰ってきて、みんなでどん平を食べ終わった。そのあと彼だけまた仕事に行った。見送って、二人で...

imanari tetsuo

 
CNDRL WORKS
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう