2023 11.2.3..4..5

2023年11月05日


日ノ出町の駅を出て少し歩いて、大岡川のほとりで水中をのぞき込んでいる。日の光を受けながら、良型のチヌとか、ボラの群れが、悠々と泳いでいて、暖冬の幕開けに相応しい。そこで、メンバーと連絡を取りながら、携帯に詩を打った。いい日和だからか、ガザで子供が死んでいるからか、時が時として、そのまま、流れてしまっていることが口惜しい。

「宿」

川沿いでタバコだ

来週の宿をとっている

泊まるひとは私ではなくて

私がやってるバンドのひと

あいつは携帯もなくネットもひいて無い

そもそも持ったことがないので使い方がわからない

その上潔癖症で

ひとのうちにはまず上がらない

ショウガとネギは火を通さなければ食べられない

コーヒーも飲めないのに純喫茶巡りが趣味らしい

そんな人の宿を横浜で川沿いで

ケータイを握って探している

シングル禁煙あと三人

なんでおれはお前の宿を

シングル喫煙あと二人

どうしていままでやってこれた

シングル禁煙あと一人

これからどうやってやっていくのですか


一週間後にまた横浜に来た。スタジオに入った。ショーキーとなっちゃんが、ビルの屋上に先に着いた。早速ショーキーにこの詩を読んだ。ショーキーは「やだーー」と言って、少し困ったように笑っていた。かまってほしい子供のように自分が思えてきたので、情けなくなって、もう読むまいと決めた。なっちゃんはキーボード一本できた。かっこいいオシュレーターやエフェクターをたくさん持ってるのに、今回は置いてきたと言っていた。ピアノでぽろぽろ昔の曲とかをさらっているうちに、柴田が来た。三十分だけ、四人で、曲をやった。まだ鼻声で、全然練習にならなかった。スタジオを出て、野毛の方に歩いた。柴田みたいな恰好の男や女が、露店で華々しく飲んでいる。みんなをダウンビートに連れて行きたかったけど、それぞれ、おなかがすいてたり長旅で疲れてたりしてたので、福仙楼というところで少し飲んだ。

翌日、横須賀のうちに朝集合して、みんなでコーヒーを飲んだ。しゃべっているうちにおなかがすいてきたので、ペンネをゆでて食べた。玲ちゃんは、自分のうちでフリマの準備をしている。楽器を持ってみんなでヴェルニー公園まで行った。海があって、軍艦がたくさん浮かんでいる公園。市の人がバラを一生懸命植えている。天気がいいので地べたに座って楽器を弾いたけど、ピアノがないのであまり練習にならなかった。路上で音を出すことをショーキーは昔から嫌うので、これ以上やっても意味がないような気がした、三十分くらいで荷物をまとめて、みんなで飯島商店まであるいた。

飯島商店についてからは、目まぐるしく時間が過ぎていった。赤ちゃんがお出迎えしてくれた。マハヤ君は、ぐっと引き締まったマテリアルになっていた。美咲ちゃんも、すごく穏やかな顔をしていた。二人が楽しんでくれた感じがしてうれしかった。来店者はピュアハートを携えて、近くから、遠くから、やってきていた。飯島の二階に中華料理を買い込んで、みんなで食べた。みんな終電を次々と逃していった。伊奈君が来てくれてびっくりした。伊奈君は終電ギリギリくらいまで、いてくれた。

汐入のうちは狭いんだけど。男四人泊まった。ウイイレと柴田が先に寝て、よっさんとうちゅう君があとから来た。うちゅうくんは、ほりさきさんの新譜を5回くらい連続再生していた。よっさんとは、積もる話がいっぱいあった。知ってる中で一番機嫌の悪い共通の友達、の話をした。彼女は、しばらく音沙汰がなくて、最近、8年ぶりくらいに連絡をくれたと思ったら、そのメールには、かしたCD を返してくれ、とだけ書いてあった。

翌朝に、うちに戻ったら、みんないなくなっていた。片づけをして、少しバイクに乗った。バイクを片付けて、ライブ会場に向かった。電車が止まって、中延に着いたのは16時過ぎだった。高校生が一人で店番をしている立ち食いそばに寄って、会場のカフェに行った。二日酔いはないけど、頭がぼんやりしてる。

ライブが始まって、人がたくさん来て、高井息吹さんが始まった。猛烈な風が吹いた。

又サニーが始まって、みんなおかしなテンションで音を出し始めた。きらっとする瞬間が、二つ三つ。いつものごとく、あっというまにライブは終わった。自分は、結構所在がなくて、さいごまでその感じがぬぐえなかったけど、それでよかった。ほめてくれる人もいたけど、頭がぼんやりして、あまりちゃんと受け答えが出来なかった。にいくんは、電車で本が読めないと言っていた。なんとなく、気持ちがわかる。最近特に。天気はずっと良い。

玲ちゃんと終電に走ったけど、しっかり逃した。大沢の家に、また泊めてもらった。タクシーで大沢の家に着いたら、なんだかまた元気になって、昆布と大沢と少し飲んだ。ガムランの音楽がかかっていた。花ちゃんと朔は京都に行ってて留守だったから、家が半分寝ているみたいだった。久我山の家は、涼しくて、沈黙の秋が充満していた。忘れてしまうから、とにかく記録をとった。沈黙の秋。さいきん時間の流れるスピードに謎の斜線が入る。紫外線だろうか。あたまでは、息吹さんの、五月の雨、みたいな曲がずっと鳴っている。





(ところどころフィクションです。) 

imanari tetsuo

 
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