いつの日かリターン 覆土
2020年05月25日
十代がフラッシュバックするのはきっと週四日しか仕事がなかったり、実家でミニトマトを栽培したりするから。
駅から家まで五分。その間にコンビニが三件くらいあって、駐車場が10枚くらいあるから。数えたわけでもなく、平坦な風景は頭の中で地続きになって、ずっと前からある。変わっていく風景は、変わるしかない風景として、もうずいぶん前から、なんだか落ち着き払っている。
音楽はストーリー。
抗うものでもなく、入ってくるところを拒めるものでもない。
音楽が鳴っている場所で、どれだけ話や、景色や、目線を、取りこぼしてきたんだろう。
ぼおっとしてるといわれて。じっと聞いてしまって、何も手がつかなかったから。それがわかってくれる人とは今でも続いてる気がする。
斉藤友秋さんをてらいなく紹介する時が来た。彼は今、歌を録り始めた。飲食営業ができなくて、古書が乱雑に積まれた店で、音を録り始めた。マイクスタンドを一本だけ立てて、女性がもう一人いて、部屋は変な途中の空間になっていて、猫が二階から降りてきて自由にしている。人がいなくなった繁華街に、ネズミが堂々としてるのが、この部屋でも、おんなじ感じで、繰り広げられる。うまくいかないときに、きっと歌は生まれる。余計なことを気にしすぎていた。そんな話をした。
誕生日の一週間前にもらったバイオリンを、誕生日に組み立てた。
へんてこな音は、静かな家になじむだろうか。
弓は、ねじるとぴんと張ります。